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漢方アドバイザー/オリエンタルスタイルプラクティショナーの桃羊です。

すっかり秋も深まってきました。各地で紅葉の便りも聞こえてきます。景色はまだ晩秋ですが、旧暦では11/7が立冬、秋から冬への移ろいをしみじみ実感する今日この頃ですね。

ところで、初秋の頃、周囲で空咳をしている人が目につきました。しかし、話をよく聞いてみると、咳は出るけど、風邪の症状とは違うと感じていた方が多かったようです。実はこの正体、おそらくほとんどが風邪ではなく、夏の間に溜まった余熱が、そのまま体内に残り、肺が乾燥して、咳や痰が出ていたというものだと思われます。そしてこの場合は、肺の熱を冷ましてあげる処方が必要となるのです。風邪と勘違いして、身体が温まる生姜などを食べてしまうと、ますます体内の体温があがり肺が乾燥、その結果、咳が悪化することにつながります。ネギや薬味類も同様です。ちなみに、身体の熱を冷ます食材とは、胡瓜、冬瓜、苦瓜、など、夏のウリ科の食材が適しています。冷たい飲み物や食べ物ではないことにご注意ください。
それにしても、このような、夏から秋への気候の変化と、その時期の人間の体調の変化の因果関係って、大変興味深いですよね。

さて、前回の記事でも触れましたが、漢方養生的には、秋は『燥』の季節、燥と関連が深い臓器は『肺』であり、肺は『気』を司ると言われています。また、中国では昔から四季の養生として、「春、夏は陽を養い、秋、冬は陰を養う」ということが強調されています。
そして晩秋の飲食による養生は、「陰を滋養し、燥(肺)を潤す」べきであるようです。 陰を補いたいと思っている人は、 特にこの時期、唐辛子、生姜、ネギ、ニンニクなどは少なめに摂るよう心がけると良いようです。そして、弱りがちな「肺」を潤し、元気にしてくれる食べ物のキーワードは『白』となります。
というのも、薬膳で秋の色は「白」、「秋に白いものを摂るといい」理由は、白い食材には身体に潤いを与える働きや、肺機能を高める作用があるものが多いためです。そんな薬効がある具体的な食材を下記に挙げてみました。
■白胡麻、百合根、白きくらげ、豆腐、松の実、杏仁、梨 など

この中から今回は、杏仁(アンニン/キョウニン)に注目してみたいと思います。
杏仁の「仁」とは種の核の部分、つまり、杏の種の核からとれるものです。核を割ると中に種子があるのですが、それを指します。
杏仁は食用としたり、また漢方生薬としても利用され、ぜんそく、咳止め、呼吸困難などに効果を発揮します。なお、杏仁には苦味のある苦杏仁(北杏)と甘みのある甜杏仁(南杏)とがあり、漢方薬として使われるのは、薬効がより強い苦杏仁です。そして、杏仁豆腐などに使われるのはもっぱら甜杏仁です。
今や杏仁豆腐はコンビニでも販売されるほどポピュラーなデザートとして定着しています。しかし、日本では、甜杏仁ではなく、アーモンドパウダーを使ったものや牛乳寒を杏仁豆腐と呼んでいることも残念ながら多いのですが、それらには杏仁粉と同じ薬効はありませんのでご注意くださいね。
そして杏仁には腸を潤し便通を改善する働きもあります。また、冷え性を改善し、体内の水分バランスを整える効果もあり、水分代謝がよくなることで、むくみの解消にも効果があります。腸内バランスやむくみの改善で、ダイエット効果を得られるケースもあるようです。かの楊貴妃も愛用していたということからも、女性の美しさに一役買う効果が高いことが伺えます。甜杏仁は、杏仁豆腐を作る以外、お湯に溶かして杏仁茶として飲むことも、簡単手軽でお薦めですので、ぜひお試しください。。
そんな杏仁ですが、比較的手に入りやすいのは、スーパーなどでも見かける「杏仁霜」という粉です。しかしこれには、甜杏仁に、様々な添加物が加えられていることが多いのが難点。ご家庭で気軽に杏仁豆腐をつくるのには便利でしょうが、飲食によって、より多くの杏仁の薬効を享受したい場合や、石鹸や化粧品の素材として使う場合、純度の高い杏仁粉を使いたいものです。
また、杏仁を圧搾して得られる油があります。「アプリコットカーネルオイル」というものですが、「杏仁油」という言い方もします。 アプリコットカーネルオイルには、優れた皮膚軟化作用があることから、クリームなどの化粧品、石鹸、整髪料の原料として広く使われています。きめの細かい、さらさらとした質感が特徴で、ビタミン、ミネラル、オレイン酸を多く含み、美容目的によく使用され、顔、そして、頭皮のマッサージにも向いています。

ところで、秋は比較的過ごしやすい気候といえますが、だからといって気を抜いてはいけません。秋の養生は、次の季節である冬に備え、とても重要です。肺のダメージは、からだを巡る「気」「血」「水」を滞らせることに繋がり、結果として免疫力の低下から風邪をひきやすくなります。また肺は皮膚や大腸との関連が深いため、肌荒れや便秘などの原因にもなります。
そんなことを少しだけ念頭に置きながら、本格的な冬を迎える前の今の時期、是非、肺のケアにも気を遣ってみてくださいね。



文:オリエンタルスタイルプラクティショナー、漢方アドバイザー 桃羊
プロフィール


桃羊(ももひつじ)
漢方アドバイザー/オリエンタルスタイルプラクティショナー
自分の体調を崩したことをきっかけに漢方の勉強を始めるが、その経験を通じ、古来から受け継がれる 東洋の知恵の奥深さに魅せられる。
これまで慣れ親しんできた日本の伝統文化における知識や経験も 織り交ぜ、オリエンタルスタイルの再考と普及を目指す。


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